今回は、BtoB(お客さまになるのが企業)のホームページを作る ときに踏まえておきたいポイントを5つ解説します。
BtoBのホームページを制作したりリニューアルしたりする際には、B toC(お客様になるのが個人)のホームページとは違う考え方が必要な ところがあります。
◆ポイント1:ターゲットは「人の集まり=集団」である
BtoBホームページのターゲットとなるのは企業、つまり複数の人の集 まりです。
購入に際して決裁権を持つ人がホームページに訪問してくれる場合もあ りますが、そうでない場合もあります。
「ホームページを見るのは誰か」「決定権を持つキーパーソンは誰か」 「個々の思惑として想定されることは何か」といったことを、企画の段 階から想定しておくことが大切です。
例えば、経理事務を効率化するシステムを中規模程度の企業を対象に売 りたい、という場合、訪問者は決裁権のない担当者であることが多いで しょう。
担当者レベルで「これを導入すれば仕事が軽減されそうだ」と感じても らえたとして、その後、どのように決裁まで進むでしょうか。
また、どういったコンテンツを用意しておけば、キーパーソンまでス ムーズに情報が届くでしょうか。
そういった「見えないストーリー」をしっかり検討しておくことが、成 果に近づくための大きなポイントです。
◆ポイント2:購入の決定までに時間がかかる
ターゲットが人の集まりであることから、ホームページを見て即購入さ れることはまれです。
上述の通り、決裁権を持たない人が主要な訪問者である場合や、経営層 が見ていたとしても、実際に導入するにあたっては関係者の理解を得る 必要が出てくる場合もあるでしょう。
購入までのプロセスが複雑であればあるほど、決定に時間がかかり、複 数の人が絡みます。
ECサイトのようにホームページ上に買い物カゴをつけて、新規のお客 様に売る方法は、BtoBホームページには向かないことがほとんどです。
◆ポイント3:ホームページは営業プロセスの補助ツール
ホームページはあくまで営業プロセスの補助ツールです。営業プロセス のすべてをホームページにやらせるのは無理があります。
そのため、ホームページを新規顧客の開拓につなげるには、自社の商品 が売れるまでの営業プロセスを明確にし、そこにどうホームページを加 えるかを考える必要があります。
営業プロセスは企業や業界、商品やターゲットによっても異なります。 また、1つの企業内でも、営業マンによってばらつきがあるなど標準化 されていないことも多いものです。
ホームページ制作に取り組む以前に、従来の営業プロセスを洗い出すと、 プロセスのどこを強化したらいいかが見えてきます。
例えば、集めた名刺のアドレスに対して、やみくもに連絡をしてアポイ ントを取り、営業マンが商品説明をして、契約にこぎつける営業プロセ スを取っているとします。
この営業プロセスのどこに、どんなふうにホームページを加えれば、成 果があがるか考えてみましょう。
商品に興味を持った見込み客の情報を集めるところや、育てるところは ホームページを中心にして、最終的なクロージングを営業マンが担当す るなど役割を分けると、ホームページを効率よく活用できます。
◆ポイント4:ホームページは複数あるチャネルのひとつ
見込み客を集めるためのツールはホームページだけではありません。
従来からやってきたような展示会や、オフラインのチャネル(販売経路) も、効果のあるものはどんどん活用していきましょう。
「ホームページを作るから他の施策はやめよう」、というのは避けて ください。適材適所でチャネルを選んで使う方が、全体の成果を上げや すくなります。
また、ホームページを運営してくと、それぞれのチャネルを連携させて 使うシーンも出てきます。
たとえば展示会で集めた名刺アドレスに、ホームページの情報を送った とします。そうすればホームページへ来てもらって商品への理解を深め てもらうことが可能です。
◆ポイント5:ホームページの位置づけを明確に
営業プロセスや集客プロセスのなかで、ホームページをどう活用するの かを、あらかじめ明確にしてから制作に取り組むことが大切です。
「ホームページがすべてを解決する」とは考えないようにしましょう。
また、ホームページの役割は、新規顧客の獲得だけではありません。
ブランドイメージを高める、顧客との関係性を深める、リピート購入の 負担を軽減する、人材採用に活用するなど、いろいろな役割があります。
どの部分をホームページが担えば上手くいくかを検討してみましょう。
すべてを1つのホームページでまかなわずに、役割を分けて運営するの もひとつの方法です。
「ホームページを持つだけで競合より優位」という時代もありましたが、 現在は、ホームページはあって当たり前、戦略無しに開設しているだけ では、役に立ちません。
ですが、ホームページを自社の営業プロセスの中に上手く組み込んで活 用すれば、新しい顧客の開拓や営業の効率化、営業スキルの標準化など、 さまざまな成果を出せます。
BtoBのホームページを制作する、あるいはリニューアルする際には、 これらのポイントをしっかりおさえて取り組んでみてくださいね。