Ⅱ-3-4) 専門家としての情報を提供する

ところで、ホームページにアクセスするお客さんには下記2種類のタイプがいます。

・今すぐ客
サービス・商品の購入を決めていて、業者比較に入っている状況のお客さん

・そのうち客
今すぐ申込みを考えているわけではなく、将来の購入にむけて、いろいろと情報を収集している状況のお客さん

上記のうち「今すぐ客」には、前節でお話ししたような「サービス・商品説明」の情報が効果的です。

一方、「そのうち客」については、サービスや商品の説明をしても、あまり反応を示してくれません。「今すぐ客」と違って、まだサービスや商品の購入を決定しているわけではないので、サービス説明そのものには、たいして興味を示さないのです。

そんな「そのうち客」に有効なのが、「専門家としての情報提供」です。

◇ネットユーザーは情報収集のためにインターネットを利用

そもそもネットユーザーがインターネットを利用する目的の多くは、「情報収集」です。

収集する情報は、スポーツの結果だったり、株価だったり、あるいは仕事の調べものだったりと様々ですが、何らかの「情報」を得るためにインターネットを利用します。

そのため誰かのホームページにアクセスしても、そこに必要な情報がないと、すぐに他のホームページに移動してしまいます。逆に情報が豊富にあるホームページには、頻繁にアクセスして必要な情報を収集します。

ネットユーザーは特定のホームページにこだわることなく、「自分の役に立つ情報」を求めて、インターネット上のホームページを渡り歩きます。

そして、これはあなたのホームページを訪れる人も同じです。せっかくあなたのホームページを訪れたとしても、そこに求める情報がなかったとしたら、その人はすぐに次のホームページに移動してしまうのです。

あなたのホームページを後にしたお客さんは、恐らくあなたのライバルのホームページを訪れます。そしてライバルのホームページに求めていた情報があった場合、しばらくそのホームページに滞在して、あちこちのページをクリックしながら自分に必要な情報を収集します。

その過程で、ライバルホームページに掲載されたサービスや商品ページにも目を止めるでしょう。そしてそのまま、御社のライバルホームページで資料請求や問合せを行ってしまうのです。

一方、情報量に劣るあなたのホームページには、決してお客さんは戻って来てくれません。

従ってライバルに勝ちたいのであれば、ライバルのホームページよりも情報を充実させましょう。アクセスした人を掴んで放さないように「役に立つ情報」を充実させるのです。そうすれば、お客さんからの問合せに確実につながります。

◇お客さんに役立つ専門家の情報

それでは、どんな情報を提供すればお客さんの役に立つのでしょうか。あなたのホームページで提供すべき情報について少し考えてみましょう。

一番お客さんに「役に立つ」と思ってもらえるのが、「プロの専門家としてのアドバイス」です。

専門家としての実力をアピールできるような、読んだ人が思わず唸るようなコンテンツをホームページに掲載することが効果的。

お客さんの所に行ってお話しする際に、お客さんが「へえ~、そうなんですか!」と膝を打つようなネタをお持ちだと思いますが、こうした情報をコンテンツとして提供しましょう。

そのコンテンツを読んだ人が、「この会社は詳しいな~。この分野の専門家なんだろうな」と思ってもらえるような内容がおすすめです。

お客さんはホームページでサービスや商品を探すときに、できれば「一番詳しい専門家」がいる会社、あるいは「その分野で一流のプロ」がいる会社で申し込みたいと考えます。

そして「専門家」あるいは「プロ」と思ってもらうためには、「専門的なノウハウ」をコンテンツとして提供するのが効果的なのです。

◇話したい情報と、聞きたい情報

ただし忘れてならないのは、そうしたアドバイスコンテンツをお客さんに読んでもらわなければいけない、という点です。いくら役に立つコンテンツであっても、お客さんが読んでくれなければ、何の役にも立ちません。

仕事柄、いろいろとホームページの相談を受ける機会が多いのですが、「この内容ではお客さんは興味をまったく示さないのでは?」と感じることも少なくありません。

ぜひ「自分がお客さんだったとして、このホームページを読む気になるかな?」と考えてみましょう。もしかしたら多くの人は、「う~ん」という感じになってしまうかもしれません。

実は、お客さんが読んでくれるのは、お客さんが「知りたい」情報です。しかしよくあるのは、自分が「話したい」情報を一生懸命ホームページにアップするケース。

あなたの「話したい」情報はたくさん掲載されているものの、お客さんはちっともその情報を「知りたい」と思っていない、そんなホームページは少なくありません。

あなたが「話したい情報」ではなく、お客さんが「知りたい情報」をコンテンツとして提供しないと、お客さんは決して読んでくれないのです。

たとえば税理士さんのホームページで多いのが、税制改正ニュースを提供するというパターン。

税制改正のニュースというのは、税理士の先生には重要かもしれませんが、一般の経営者はほとんど興味を持ちません。したがって、小難しい専門用語が満載の税制改正ニュースのページをいくら充実させたとしても、お客さんの反応はあまり得られないのです。

お客さんが知りたいのは、税制改正の内容ではなく、その改正で「自分が支払う税金」がどうなるのか、その一点です。

したがって、税制改正の条文をそのまま掲載するのではなく、「来年度の税制改正を活用した節税ポイント」とか、「新制度でよけいな税金を払わない方法」といったコンテンツのほうが、お客さんに喜ばれるのです。

◇客先で話している内容を掲載する

もしこういう「お客さんが知りたい情報」のイメージがわかないようなら、あなたがお客さんの前で話している内容を考えてみましょう。

たとえば先ほどのケースでは、税理士の先生が顧問先の社長さんの前で、税制改正の条文を一行一行解説したりはしないと思います。そんな話をしても、社長さんは絶対喜びませんから。

そうではなくて、「税制が変わったから、今期はこの経費を抑えたほうが良いですよ」とか、「この資産を購入しておけば、節税になりますよ」といった話をしているはずです。

もしそうなら、その話をホームページで提供すれば良いのです。お客さんの前で話している内容というのは、お客さんが「興味を持つ」から話しているわけです。その内容をホームページで提供すれば、当然、同じように他のお客さんは興味を持ってくれるのです。

前節の「サービス・商品説明」の所でも、「客先で話している内容を掲載しましょう」とご説明しましたが、それと同じです。

客先で話している「プロの専門家としてのアドバイス情報」をホームページに掲載すれば、それはそのまま「お客さんが知りたい情報」、すなわち「ライバルサイトに移動せずに、あなたのホームページで読み続けてくれる情報」になるのです。

◇専門的な情報を充実させる

これからは、「サービスや商品の紹介」を並べるだけではなく、ホームページの6割くらいのコンテンツを「プロとしてのアドバイス情報」にすることをおすすめします。読者を感心させる「プロとしての専門知識」をコンテンツとしてたくさん用意して、お客さんにアピールしていくのです。

たしかに最初からこうしたコンテンツを用意するのは大変かもしれません。でも、前節で述べたようなサービス・商品の紹介コンテンツが一通りそろったら、こうした「アドバイス」コンテンツ、あるいは「ノウハウ」コンテンツを増やしていきましょう。

アドバイスコンテンツにお客さんが興味をもってくれれば、ホームページの中をいろいろと見てくれるようになります。そうすればそのうち、サービス・商品ページにもアクセスしてくれます。そしてその内容に興味を引かれて、やがて問合せへとつながっていくのです。

以上いろいろとお話ししてきましたが、

・ライバルより信頼してもらう

・サービス・商品のメリットを伝える

・専門家としての情報を提供する

といったコンテンツが、ホームページ経由のお問い合わせを獲得するのにお勧めです。最初からこうしたコンテンツをすべて用意するのは難しいかもしれませんが、徐々に充実させていきましょう。